『新たなコンビニのあり方検討会』を解説

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コンビニを取り巻く環境とニーズ

近年のコンビニは、単にお弁当や飲料などの食品や日用品を販売する小売店という役割だけではなく、さまざまな役割を果たす「生活の拠点」となっています。公共料金や通販の利用代金の支払い、イベントチケットや交通チケットの発券、ATMの利用など、数え上げればきりがありません。

さらに、コンビニに求められるニーズは、災害時の物資調達や地域の防犯・防災機能など社会的な役割にまで広がりを見せている状態です。その一方でコンビニを取り巻く環境は、1店舗当たりの客数減少やオーナーの高齢化、人手不足等々、年々厳しさを増しています。
これらの山積するコンビニの問題を検討するため2019年6月、経済産業省主催のもと「新たなコンビニのあり方」検討会(以下、コンビニ検討会)が発足しました。
今回は、コンビニ検討会の概要やこれまで議論された内容などをご紹介します。

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コンビニ検討会とは

前章で述べたように、近年コンビニでは取り巻く環境の変化などから様々な課題が挙がっています。コンビニ検討会とは、社会的な期待に応えつつ、コンビニ業界が今後も持続可能な成長をするために、これらの課題や今後の方向性を議論し検討するために開設されました。
検討会では、災害分野や経済分野などの専門家が集まって課題を議論する「有識者検討会」を中心として、コンビニの現状を把握するためにオーナーや従業員にアンケート・ヒアリングを行う調査などが実施されました。各項目の概要としては、以下となります。

【有識者検討会】

有識者検討会は経済産業省の事務局員主催で進行され、災害分野や経済、流通、IT分野の専門家などが委員として参加しています。
大学教授や民間企業のコンサルタントなど様々な分野の委員が参加し意見交換が行われます。この検討会は合計5回の開催予定し、各検討会でトピックスを定め報告、議論、意見交換が行われます。(次章で第1〜3回の有識者検討会の詳細をご紹介します。)

【オーナーヒアリング】

コンビニ大手8社に加盟するオーナーに対して希望を募り、抽選で該当したオーナーに対してヒアリングが行われました。ヒアリングは令和元年8月21日〜9月17日に全国8都市、121人を対象として行われ、有識者(委員)同席のもと実施されました。
主な内容として以下の項目がヒアリングされました。

主なヒアリング項目
・競合の状況(ドラッグストア、店舗数の増加)
・従業員との関係(従業員の確保状況、オーナーの勤務状況
・本部との関係(契約内容、本部とのコミュニケーション、サポートなど
・ユーザーとの関係(コンビニで取り扱う商品・サービス、災害時など社会的役割
・店舗運営(機械化・省人化、24時間営業、食品廃棄、後継者問題など)

【オーナーアンケート】

ヒアリングに参加を希望しヒアリングに該当しなかったオーナーに対してアンケートが実施されました。ここでは6,227人にアンケートを送付し、3,645人の回答が得られました。
オーナーアンケートでは基本的な情報(年齢、加盟年数、経営店舗数など)や店舗状況(売り上げ、年収など)に加え、従業員についての意見や本部との関係についての意見などが項目として記載されました。オーナーヒアリング、オーナーアンケートどちらもコンビニ本部を経由せず事務局から直接郵送、実施がされました。

【従業員アンケート】

従業員アンケートは令和元年8月22日~8月27日に実施され、1年以内にコンビニに勤務経験のある人500人に対してインターネットアンケートを実施。性別や年齢などの基礎情報、勤務状況や勤務の動機、コンビニの運営・課題についての意見などを設問事項として実施されました。

【ユーザーアンケート】

コンビニ利用者に対して、コンビニ店頭の出口調査とインターネットアンケートの2種類でアンケートを実施しました。
店頭の出口調査では、令和元年7月18日~7月31日に繁華街、住宅地、郊外幹線道路沿い等に立地する合計10店舗の来店客、944名に対し実施され、調査時の利用状況(何を買ったか、滞在時間など)や調査時以外でのコンビニの利用状況、24時間営業についてなどが調査されました。
インターネットアンケートでは令和元年7月22日~7月26日に1万人に対して行われ、出口調査同様、コンビニの利用状況や品揃え・サービスへの評価、深夜営業への評価などを調査しました。

【本部ヒアリング】

フランチャイズ本部8社(セイコーマート、ローソン、国分グローサーズチェーン、ミニストップ、セブン-イレブン、ファミリーマート、ポプラ、山崎製パン)に対し、有識者検討会の委員がヒアリングを実施します。
オーナーと本部の関係や自動化・省人化等に対するフランチャイズ本部の考えを、4社ごと2回に分けたヒアリングが実施されました。

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有識者検討会/第1回検討会

第1回の有識者会議は、2019年(令和元年)6月28日に経済産業省の会議室で開催されました。検討会当日は、大阪出張で出席できなかった経産省世耕大臣からビデオレターが寄せられました。検討会の意義について触れ、「日本が世界に誇るコンビニシステムの未来の姿を描いていきたい」という期待が語られていました。
その後、検討会を運営する事務局よりこの検討会の趣旨や社会的な背景など、コンビニの現状と課題に関する説明が行われました。
この説明では2014年と2018年に行われたコンビニ調査の結果をもとに、一店舗当たりの売上の停滞やオーナーの高齢化や人手不足の問題、コンビニオーナーからみた課題、コンビニに期待される役割の拡大、新たな技術活用によるコンビニ業界の可能性などが紹介されました。
その後、ユーザー調査やWEBアンケートの詳細解説、実施スケジュールの説明等がなされました。

第1回検討会資料はこちら>

有識者検討会/第2回検討会

第2回の有識者会議は、2019年(令和元年)8月30日に開催されました。 この回では、第1回目で出された各委員の意見を事務局側であらためて紹介した後、3名の委員よりそれぞれの専門分野の面でのコンビニが果たしている役割や 今後の展望などが解説されました。議題の一部を紹介します。

災害時のコンビニにおける支援状況の解説(東京大学大学院 宇田川氏)

災害時の貢献・支援で主な項目として、水、食料、乾電池、日用品など消費財の供給と、wi-fi,行動支援情報など情報サービスなどの提供がある。 特にコンビニではFC本部との連携で複数種の消費財を大量に確保でき、在庫の制限がある小売店や商品種類が限定されるメーカーに比べ災害時の貢献という面で大きな役割を果たす。

地域コミュニティの中でのコンビニ(本田屋本店 本田氏)

福島県を拠点に活動する本勝之助氏より都市部とは異なる地方でのコンビニの役割や期待される点が紹介されました。特に人口の少ない地域の場合に単なる小売店だけではない、サードプレイスや安否確認の場など、地域住民のコミュニケーションスポットとなっている現状やデジタル化にシフトしていく際にコンビニに期待する役割などが紹介され、チェーンの垣根を越えてオーナー同士で協調することにより、地域の活性化にもなるのではないか、という意見が述べられました。

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テクノロジーの活用((株)ビービット 藤井氏)

(株)ビービット藤井氏よりキャッシュレス決済や進み、人々の行動が急激にデジタル化している現状の説明がされました。
また、デジタルが浸透した後の状況として、オンラインからオフラインになった際にコンビニに変わる便利な場所がオフラインの中に成立するとされ、 「便利」の定義が変化する過程においてコンビニも「コンビニエンス」を再定義する試みの必要性について解説されました。

第2回検討会資料はこちら>

有識者検討会/第3回検討会

第3回の有識者会議は、2019年(令和元年)11月5日に開催されました。 野村総合研究所の坂口氏よりオーナーヒアリング、オーナーアンケート、従業員アンケート、利用者アンケートの結果が報告され、 武蔵大学経済学部 教授の土屋氏よりヒアリングやアンケート結果が起きた社会的背景などの解説が行われました。

第3回検討会資料はこちらから>

まとめ

2020年1月には、第5回検討会が実施され、第1〜4回まで議論されてきた内容が中間報告としてまとめられる予定です。 コンビニ検討会が議論し、アンケートなどで調査してきた内容は、各FC本部の課題にはとどまりません。 社会的にも存在感を増しているコンビニは、社会全体としての存在意義や成長性などが問われ、今後も広い範囲からのアプローチが行われると予想されます。

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